抗菌プラスチックとは、抗菌効果を有するプラスチックの総称で、医療現場や介護施設、公共のスペース、一般家庭など、さまざまな場所で用いられている。
抗菌プラスチックには、プラスチックの中にあらかじめ抗菌剤を練りこんだものや、プラスチック表面に後から抗菌剤をコーティングしたものがある。練りこみ法は、抗菌剤がプラスチック内部にも分散しているため、比較的効果が持続しやすいといわれている。一方、コーティング法では、製品への後加工が可能で、効果が薄れても再加工で性能を回復させることが可能である。
抗菌剤の種類
抗菌プラスチックに用いられる抗菌剤は、おおまかに次の3種類に分けられる。
無機系抗菌剤
代表的なものに、金属イオン(銀イオン、銅イオン等)、光触媒(酸化チタン等)があげられる。金属イオンはそれ単独では溶出しやすいため、セラミックス粉末などの無機化合物に担持して用いられる。
無機系抗菌剤は持続性に優れており、抗菌プラスチック向けの抗菌剤としては現在最も広く用いられている。
有機系抗菌剤
代表的なものに、塩化ベンザルコニウムのような第4級アンモニウム塩などがあげられる。
有機系抗菌剤は即効性が高く、少量の添加で効果を発揮するものが多いが、耐性菌の発現や、皮膚刺激性に注意する必要がある。
天然系抗菌剤
ワサビやカラシの辛味成分であるアリルイソチオシアネート(Allyl isothiocyanate)や、ヒノキの精油成分、お茶抽出物のカテキン、カニの甲殻から抽出されるキトサンなどがあげられる。
天然系抗菌剤は比較的安全性が高いが、比較的高価で、効果も弱めのものが多い。
お弁当箱の中に入れる抗菌シートなどに使われている。