国内外のABS樹脂メーカーを紹介します。
ABS樹脂は、3種類の異なる高分子(アクリロニトリル[A]、ブタジエン[B]、スチレン[S])を共重合させてつくった合成樹脂です。ABS樹脂以外にも、共重合体の樹脂の種類や数、割合を変更し、用途に応じてさまざまな特性を持ったスチレン系樹脂(AS、ASA、AES、ACSなど)が製品化されています。
ABS樹脂業界は近年国内メーカーの再編が著しく、2018年にテクノポリマーとUMG ABSが統合、1999年には住友化学と三井化学の出資により日本エイアンドエルが設立されました。直近では2020年3月、旭化成がABS樹脂事業からの撤退1)を公表されています。
国内 ABS樹脂(ABS, AS, ASA, AES, ACS)メーカー・サプライヤー
東レ
トヨラック™シリーズを展開。コスト重視の汎用グレードから、透明、制電、炭素繊維強化といった特殊グレードまで幅広くラインナップ。
国内のほか、海外(マレーシア)にも製造拠点。
ダイセルミライズ
セビアンV。一般グレード、耐熱グレード、透明グレードや、耐薬品性を強化した特殊グレードなど。
テクノUMG
当時国内ABSシェア1位のテクノポリマー(JSR系)と同2位のUMG ABS(宇部興産-三菱ケミカル系)の2社が2018年4月に合併。スチレン系樹脂大手。UMG ABS®シリーズを展開。
日本エイアンドエル
住友化学と三井化学の出資により1999年7月に設立。クラスチック™シリーズを製造、販売。
デンカ
デンカABS。
汎用グレード、特殊グレード(ガラス強化ABS、耐熱ABSマレッカ®)等ラインナップ。
海外 ABS樹脂(ABS, AS, ASA, AES, ACS)サプライヤー
奇美実業 CHIMEI Corporation(台湾)
合成樹脂世界大手。ABS樹脂の年間生産能力は約200万トンと世界最大。
LG化学(韓国)
合成樹脂世界大手。近年のABS生産設備増強により、奇美実業の200万トンに並ぶ生産能力。
参考資料
1) AS、ABSおよびACS樹脂事業からの撤退について(2020年3月6日 旭化成株式会社プレスリリース)