プラスチックに添加される「フィラー」について紹介します。
充填剤
充填剤は増量剤とも呼ばれ、添加することでプラスチックを増量しコストダウンを図る。
通常は、天然鉱物などの入手しやすく安価な粒子状物質がフィラーとして用いられるが、一般に添加量を増やすと成形性や耐衝撃性などの特性が低下するため、フィラーの種類や添加量の選定には注意が必要である。
【充填剤フィラーの特徴】
入手しやすく安価
【選定ポイント】
充填剤添加による成形性、成形品の特性への影響が小さい(許容範囲である)こと
長期安定性(変色、劣化などの悪影響を及ぼさないこと)
【代表的な充填剤】
- 炭酸カルシウム
- シリカ(二酸化ケイ素)
- タルク
- 粘土化合物(クレイ)
補強材(強度向上)
【特徴】
アスペクト比が高い平板状・針状の粒子や繊維
【選定ポイント】
樹脂との分散性、密着性
(プラスチックの種類によっては表面処理グレードを選定)
平板状粒子
- ガラスフレーク
- タルク
- マイカ
針状粒子(ウィスカー)
- チタン酸カリウム
- 酸化亜鉛ウィスカー
- 針状アルミナ
- ウォラストナイト
- アパタイト
- カーボンナノチューブ
繊維状物質(ファイバー)
- ガラス繊維(ガラスファイバー)
- カーボン繊維(カーボンファイバー)
- セルロースナノファイバー(CNF)
- アラミド繊維
難燃剤(難燃性向上)
【特徴】
高温で吸熱反応により分解し、燃焼熱を奪う(ex.水酸化マグネシウム)
不燃性のガスや水蒸気を発生し、酸素を遮断(ex.炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト)
樹脂表面に不燃性の被膜(チャー)を形成し、酸素の供給を遮断(ex.赤りん)
【選定ポイント】
要求される難燃グレードに応じて難燃剤の種類、添加量を最適化する。
- 水酸化マグネシウム
- 水酸化アルミニウム
- ハイドロタルサイト
- 酸化アンチモン
- 赤りん
- 炭酸亜鉛
- ホウ酸亜鉛
- 膨張黒鉛
ガスバリア性付与材
【特徴】
平板状無機フィラー(少量で高いガスバリア性を得られる)
- クレイ
- 合成マイカ
紫外線カット材
【特徴】
紫外線を吸収
【選定ポイント】
透明性が必要な場合は、ナノフィラー(ナノ粒子)が用いられる。
- 酸化亜鉛
- 酸化チタン
赤外線カット(熱線カット)材
【特徴】
赤外域に吸収のある化合物
- ATO(アンチモンドープ酸化スズ)
- ITO(酸化インジウムスズ)
- LaB6(六ホウ化ランタン)
- CWO®︎(セシウムドープ酸化タングステン)
[CWO:住友金属鉱山株式会社の登録商標]
電磁波カット材
- フェライト粒子
- カーボンナノチューブ
- 金属粒子
X線防護材
- 鉛
- ビスマス
- 硫酸バリウム
光反射向上材、光散乱向上材
- ガラスビーズ
- 酸化チタン粒子
- 炭酸カルシウム粉末
- マイカ粉末
- アルミニウム粉末
- 熱伝導率向上
- アルミナ(Al2O3)
- 窒化アルミニウム(AlN)
- 窒化ホウ素(BN)
導電性付与剤
- カーボンブラック
- グラファイト
- グラフェン
- カーボンナノチューブ
- カーボンファイバー
- 金属パウダー
- 金属ファイバー
アンチブロッキング剤(アンチブロッキング性向上)
- シリカ粒子
- 炭酸カルシウム粉末
- タルク